【テーマ】この業界に進むなら読んでおいたほうがいい本、映画
2008年09月06日 17:11
DTPに直接係わるものではないけど、印刷や製版のちょっと詳しいことが描かれている本を、今読んでいる。
真保裕一の『奪取』だ。上下刊でまだ下巻の途中なので結末はわからないが、印刷や製版技術の専門的なことがよく描かれている。
物語は、ある青年が仲間を犠牲にしながら、1万円札の偽札を作るというもの。原版の作業工程やマスク版の作成など、かなり専門的な言葉がズラリと並んでいるから、この業界じゃない人には難しいかもしれない。でも、これからこの業界を目指している人は読んでみて損はないと思う。文庫本になっているのでリーズナブルだし。
たとえば、1万円札の刷版(この単語はMACで一発では変換しなかった。ちなみに『さっぱん』と読み、印刷機にかける最終の元版のこと)を作る手順は、実際を経験してる我輩にとっても難しかった。これを読んでもDTPの勉強にはならないだろうが、印刷やDTP、グラフィックデザインというものの専門性を認識するには充分だろう。だが、理解するのは難しい。実際に目で見るのと、文章を読んで頭にその作業を想像するのは雲泥の差があることを知った。
その刷版を一人で作業する件は、我輩も実際に経験あるし製版の現場も知っているのだが、文字になってみると、すごく難しいことをやっているように感じるのだ。アルミ版に感光材を塗布する工程(出来上がったものがPS版)も実際にはあっという間に現場の人はやっている。現場の人は何でもないようにやる。1日に何十回も同じとこをやっているのだから、当然なのだが。ちなみにPS版に焼き付ける光源(今はメタルハライドランプを使っているようだが、我輩のいた印刷会社はカーボン棒だったと思う)は、肉眼で観ると目を焼いてしまうほどの光量だから、決して直に見ないように。
そんな現場の空気や、薬品に匂い良くが描かれているので、臨場感たっぷりで本筋とは別のことろでも面白い一冊だ。本当に専門的な内容の本や雑誌は本屋さんの棚に並んでいる。『DTPワールド』とか読めば、いろいろなことが分かる。しかし、この『奪取』は、オフセットの平版印刷機(多分色校正用の印刷機だと思う)など、一昔前のことが描かれているから、我輩にはとても懐かしいのだ。
それはともかく、歴史を知るということは、あなたのスキルに奥深さがプラスされるのだから。
まあ、本筋も大層面白いので、是非ご一読を。


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